2:経営分析の基礎知識

基礎知識といっても基礎の基礎すぎる気がする。。。普通はこれだけで1冊の本が出来るような内容のはずなので表面をさらっただけなんだろうなぁ。。。ま、今の私にはこれでも難しいくらいだったですが(苦笑)

財務諸表の見方

1.割合(比率)を計算して比較
2.同業他社や対前年度との比較
3.企業活動の内容を考え、数字の持つ意味を推理


具体例1:P/L比較
売上高総利益率や売上高経費率、売上高経費率の中でもどの経費により多くのコストがかかっているのか、などから、規模が違う会社でも業績の良し悪しの比較が可能である。

具体例2:対前年度比較
企業戦略とその結果を数字から読み取り、戦略がうまく行っているのか否か、現在の状況などを読み取ることができる。

⇒収益性・安全性・生産性・成長性の4つの面から経営分析を行う。

収益性分析

収益性は投下資本に対する利益度合いで量る


資本利益率 =

   利益     売上高     利益
= −−−− = −−−−− × −−−−−
   資本     資本      売上高
         ~~~~~~~~~~   ~~~~~~~~~~
         資本回転率   売上高利益率

資本利益率

資本利益率は、『投下した資本』に対する利益の度合いを見るものなので、何を資産(分母)と扱うかによって利益(分子)側の数字も異なるものを用いる必要がある。

  • 総資本利益率  ・・・ 会社の運用資本全体に対する利益獲得効率 = 経常利益 / 資本合計(資本+負債)
  • 株主資本利益率 ・・・ 株主の拠出資本に対する利益獲得効率   = 当期利益 / 株主資本(自己資本
資本回転率

資本回転率は、『投下した資本』の運用効率をみるためのもの。詳細分析では資本の運用携帯である資産グループごとの回転率を計算する。

  • 売上債権回転率 ・・・ 売上債権 / 売上高 ・・・ 貸倒れや回収期間の長期化が起こっていないか?
  • 棚卸資産回転率 ・・・ 棚卸資産 / 売上高 ・・・ 在庫管理に問題?不良在庫・品質劣化・陳腐化?
  • 固定資産回転率 ・・・ 固定資産 / 売上高 ・・・ 不動産価格の下落や機械・設備の遊休化?
売上高利益率

売上高利益率は、損益計算書上の5種類の段階利益ごとに計算される。それぞれの意味するところは以下の通り。

  • 売上総利益率 = 売上総利益 / 売上高 ・・・ 粗利をどのくらい効率的に得たか競争力を表す
  • 営業利益率  =  営業利益 / 売上高 ・・・ 財務構造の影響を受けていない数字なので、本業でどのくらい効率的に儲けたかを表す
  • 経常利益率  =  経常利益 / 売上高 ・・・ 財務構造(営業外収支etc)を含めた数字で効率性を表す
  • 当期純利益率 = 当期純利益 / 売上高 ・・・ 最終的な株主への配当財源がどの程度効率的に得られたかを表す
そのほかの指標値
  • 売上高原価率  = 売上原価 / 売上高 ・・・ 本業の売り上げに対するコストの度合い、低いほどコストダウンが出来ている
  • 売上高販管比率 = 販管費 / 売上高  ・・・ 売り上げに対する営業経費等の度合い、低いほど経費節減が出来ている

経常利益率や当期純利益率が売上総利益率などと比べ極端に傾向が異なる場合、本業以外の収益で数字を整えていると判断できる

損益分岐点分析*1

損益分岐点とは費用と収益が均衡する点のことである。損益分岐点分析では、費用を固定費と変動費に分類し、売上高と費用の関係を把握、売上と利益の関係を分析できる

売上高 − 変動費 = 限界利益 と呼ぶ。限界利益と固定費の均衡点が損益分岐点である。 限界利益と固定費の比率を損益分岐点比率といい、100%を超えている場合赤字であることを示す。


損益分岐点比率(%) =

        固定費
= −−−−−−−−−−−−−− × 100
   限界利益(売上高−変動費

損益分岐点分析では主に利益管理を行う。つまり今後利益を増やす為にどのような手を打つか(固定費の削減、変動費比率の縮小 etc)を決める元ネタとする。 交差比率により、薄利多売商品と厚利少売商品とのバランスをとる。


交差比率 = 売上高利益率 × 棚卸資産回転率

安全性分析

企業が支払不能とならないだけの充分な資金量を確保しているか否かを貸借対照表を元に見定める。収益性分析では「儲かっているか」を、安全性分析では「倒産しないか」を、それぞれ確認することが出来る。

流動比率

流動比率 = 流動資産 / 流動負債
流動資産と流動負債の割合を示したもので、「流動負債を賄うだけの充分な流動資産が確保されている(=流動比率100%以上)」ことを確認できる。 貸借対照表上では、流動/固定の基準は1年以内か否かなので、理想的には200%以上が望ましい。

当座比率

当座資金 = 現金預金 + 売上債権 + 有価証券 (棚卸資産短期貸付金を除く)
流動資産のうち棚卸資産などすぐに資金化出来ないものを除いた、より流動性の高い資産の割合。 向こう3ヶ月以内の返済能力を表す。 理想的には100%以上が望ましい。

株主資本比率自己資本比率

株主資本比率 = 株主資本合計 / 資産合計
数値がより高いほど、返済義務を負わない資本調達(借入ではない資本調達)が多く、安心な経営が可能。
理想的には70%以上が望ましいが、現実としては40%超で優良企業、20%未満で注意。

固定比率

固定比率 = 固定資産 / 株主資本合計
数値が100%以下であれば、固定資産の取得に自己資本が充てられ安心。長期間の使用で売上収益に貢献する固定資産は短期資金で取得すべきではない。*2

固定長期適合率

固定長期適合率 = 固定資産 / (株主資本合計 + 固定負債
より現実的判断をする為、返済期限の長い借入金(固定負債)を数字に組み入れて考える。この数値が100%を超えている場合、資金不足の危険性が高いといえる。

インタレスト・カバレッジ・レシオ

企業が借入金の金利負担に耐えられるかどうかを表す指標値。数値が1を下回ると会社経営は危機的状況であるといえる。


インタレスト・カバレッジ・レシオ =

   営業利益 + 受取利息・配当金
= −−−−−−−−−−−−−−−−−
        支払利息

キャッシュフロー分析

3つのキャッシュフロー

・営業キャッシュフロー ・・・ 本業の資金創出能力を示す
・投資キャッシュフロー ・・・ 将来の利益獲得を狙った資金の使い方を示す (+)設備の売却・事業縮小 (−)設備導入・株式取得
・財務キャッシュフロー ・・・ 財務構造調整のための資金の使い方を示す (+)外部からの資金調達 (−)借入金返済

フリーキャッシュフロー

営業活動で稼ぎ出したお金から現業を維持するために投資せざるを得ないお金を差し引いた残りの自由に使えるお金。 現業維持の為の投資としては減価償却費や設備更新費など。

C/F詳細分析


Ⅰ.営業活動によるキャッシュフロー
  営業損益調整部分  ・・・ 取引条件に依存しない「すべての事業」の業績
  営業外収支調整部分 ・・・ 本業以外の主に投資・財務に係る業績を除く為の要素
  債権債務調整部分  ・・・ 取引条件に依存する業績
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  (営業キャッシュフロー

Ⅱ.投資活動によるキャッシュフロー
  現業維持必要資金  ・・・ 企業戦略に自由に使用できるキャッシュを算出する為の要素
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  (フリーキャッシュフロー
  その他の投資など  ・・・ 有価証券や固定資産の取得・貸付などに係る要素

Ⅲ.財務活動によるキャッシュフロー
  財務キャッシュフロー・・・ 借入・社債発行・増資などによる資金調達とその解消に係る要素
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  (トータルキャッシュフロー

上記の3つ(営業C/F、フリーC/F、トータルC/F)が全てプラスであることが重要。 そうでない場合、資金が減るという財務状況に陥っている。

C/F分析例


        A社    B社   C社   D社
  営業C/F  200   400  100 −300
  投資C/F −500  −200  200  600
  財務C/F  300  −200 −300 −300
  合計      0     0    0    0

上記例だといずれの会社もトータルキャッシュフローはゼロだが、その内容が異なる。

  • A社 ・・・ 設備投資を行ったが営業C/Fで賄いきれず資金調達
  • B社 ・・・ 営業活動で稼ぎ出した資金の範囲内で設備投資・借入金返済が行えており堅実経営状態
  • C社 ・・・ 借入金を賄うだけの稼ぎが営業面でなかったため設備売却等で資金を作っている
  • D社 ・・・ 営業C/Fが伸びず、また借入金の返済などで資金不足に陥り、設備の処分などで資金を生み出し経営の縮小をしている。危険状態。

生産性分析

生産性とは、経営資源の投入量に対し、獲得した経営成果の関係を表す。つまり、「どれだけの付加価値が生み出されたか」を分析する。

労働生産性


労働生産性 = 従業員一人当たりの付加価値 =

   付加価値     人件費      人件費
= −−−−−− = −−−−−− ÷ −−−−−−
   従業員数     従業員数     付加価値
           ~~~~~~~~~~~~   ~~~~~~~~~~~~
         一人当たり人件費    労働分配率

  • 付加価値 = 売上高 − 外部購入価額(ex.商品仕入高、原材料費、外注加工費、運賃 etc)
  • 労働分配率 = 100円稼ぐのにどれだけの人件費がかかったかを示す。数値が高い程生産性が低い。
設備投資効率


労働生産性 =

   付加価値     固定資産     付加価値
= −−−−−− = −−−−−− × −−−−−−
   従業員数     従業員数     固定資産
           ~~~~~~~~~~~~   ~~~~~~~~~~~~
           労働装備率    設備投資効率

  • 労働装備率  ・・・ 従業員一人当たりの設備投資量
  • 設備投資効率 ・・・ 設備投資がどのくらい効率的に付加価値を生み出しているか

機械化によって効率が上がっていなければ結果的に生産性は悪化していることになる。

成長性分析

企業の成長性は、年次比較による資本の増殖度合いによって評価される。単純な前期比較だけでなく長期的な業績推移で分析する。

  • 売上高増加率  ・・・ 売上高の伸び率をみるもの
  • 経常利益増加率 ・・・ 企業利益の成長 = 資本の増殖 として、利益の成長度合いを見る
  • 総資本増加率  ・・・ 総資本は増加の内容が重要

2.経営分析の基礎知識 以上

*1:この辺は説明が表面的なものに留まっておりココでの理解は浅いです。。。

*2:現実には固定資産への投資を借入金により補っているのが普通である