グーグル Google −既存のビジネスを破壊する−

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

評価:☆☆★★★
感想:
やや辛めの評価。というか、著者が何を訴えかけたいのかがイマイチ不明。時流に乗ったキーワードで本を書いてひと儲けしたい感じなのか?
本書の構成としては、まず「全てを破壊していく」としてグーグルの破壊戦略とやらについて論じている。いわくグーグルは既存の秩序の破壊者なのだと。そしてそれによって代わりつつある世界の実例として、キーワード広告を活用した羽田の駐車場の話や、田舎のメッキ工場の話を引用している。これだけのことを記述するのに200ページ近く、しかも駐車場の実例に関しては3章ほどにまたがって書かれている。
そう、話したいことを小出しにしては結論を先送りにするような書き方をするから、読んでいてストレスが溜まるのだ。

この本で書きたかったことを著者はあとがきでこう述べている。

この本で私が描こうとしたのは、インターネットの進化そのものであるからだ。プレイヤーはグーグルである必要はなく、マイクロソフトでもヤフーでも構わない。

ならば、インターネットの進化に触れるべきであり、いわゆるネット社会の危険性をいたづらに煽るべきではなかったのではないか。もっと読者層を絞って書くべきだろう。
著者は本稿を2週間ほどで脱稿したらしい。確かにその筆致には大変なスピード感が感じられるが、個人的には推敲が足りない読みづらさが先に来てしまった。

本書とついになって語られることが多い梅田望夫氏の「ウェブ進化論」については、以前書評を書いたが、こちらは幅広い層にお勧めできる良書。
こちらは「ウェブってなんだろう?」というような、業界と関係の無い、我々の親の世代くらいの方が取っ掛かりに読むには、実例を元に世の中の変化が記されていて良いのではないだろうか。