IT予算をイノベーションに投入するための4つのステップ

潤沢な予算を誇る組織でも、イノベーションのための資金を確保するのは容易なことではない。フォレスターリサーチの推計によると、IT予算全体の中で新しい取り組みに投入されている金額の割合は、24%にとどまっているのが現状だ。残りのIT予算は何に使われているのかといえば、フォレスターのアナリスト、アンドリュー・バーテルズ氏がいうところのMOOSE」――Maintain(保守)、Operate(運用)、Organization(組織)、Systems(システム)、Equipment(機器)だ。

 バーテルズ氏とフォレスターの主席アナリスト、クレイグ・シモンズ氏は、昨年11月にボストンで開催されたフォレスター主催のカンファレンスで、イノベーションの実現に向けたIT予算の改革方法に関するセミナーを共同で行った。両氏が挙げたポイントは、基本的な要素の管理を徹底することだ。

<中略>

 フォレスターは、CIOが2006年に優れた業績を達成するためのIT管理とコスト削減の指針として、次の4つのステップを紹介している。

ステップ1

 IT資産をすべて棚卸しする。まず最初に、自社が何を持っているか、それらはどこにあるか、また、それらはリースしているものか、保証でカバーされているものかなどを確認しなければならない。MOOSEを簡素化する1つの方法は、アプリケーションポートフォリオ管理と資産管理を行うことだ。社内で十分に活用されていないIntelサーバが6台見つかり、それぞれに異なるアプリケーションが搭載されていたり、5台ものPCでWindows 98が使われているというような深刻なリスクが発見されたりといったことがよくある、とシモンズ氏は説明した。また、古めかしいCOBOLプログラムから先月作成されたばかりのJavaプログラムまで、カスタムアプリケーションを保守するコストとメリットを把握することも重要だという。

ステップ2

 ステップ1で特定したIT資産と、それらが支えているビジネスプロセスを対応づける。

ステップ3

 時代遅れになった資産やアプリケーションの利用を取りやめ、無駄な重複をなくし、旧式のシステムをアップグレードし、可能な限り標準化を進める。

ステップ4

 最適化する。ITのビジネス価値を測定する方法論を見いだす必要がある。シモンズ氏は、IntelのIT部門が開発した手法を最良のものの1つと評価していると述べた。この手法は同社のWebサイトで紹介されているという。

 「MOOSEを管理するのは、コストを削減するためだけではない」とバーテルズ氏。「業務改革の支援という重要な目標に取り組むためでもある。 CEOからあまり多くを期待されていない今こそ、そうすべきだ」と同氏は、CEOが現在、以前のようにIT部門に予算をつぎ込んで新しい要求を投げ掛けてはいないことを引き合いに出して語った。「ITが再び脚光を浴び、改革が活発に行われる時期に備えて、IT部門はイノベーション力を高めておかなければならない」