3.会計の基礎知識

企業会計には大きく「財務会計(商法・証取法に従う)」「税務会計(税法に従う)」「管理会計経営管理・意思決定のための会計)」の3つがあるが、ここでは財務会計について扱う。

商法会計

債権者保護と株主保護のため、決算報告についても決算日から報告までの期間等が定められている。決算日から決算公告まで3ヶ月。


 ・決算日

 ・計算書類の監査役・会計監査人への提出
                      ↓3週間  ↓4週間 ↓
 ・付属明細書の監査役・会計監査人への提出       ↓    ↓
                            ↓    ↓
 ・会計監査人による監査報告書の監査役・取締役への提出      
                            ↓1週間 ↓8週間
 ・監査役による監査報告書の取締役への提出            
                                 
 ・定時株主総会召集、計算書類・監査報告書の備置         
                            ↓2週間 ↓
 ・定時株主総会

 ・決算公告、有価証券報告書提出

決算手続

財務諸表が外部に報告されるまでの手続き


 ・決算日

 ・決算発表   ・・・ 取締役会での承認後、決算短信を證券取引所に提出

 ・定時株主総会 ・・・ 最終承認権限を持つ株主による計算書類の承認

 ・決算公告   ・・・ 新聞や官報での決算概要の公告

 ・有価証券報告書の提出 ・・・ 財務局への提出(公開企業、一定要件を満たす企業)

財務諸表の作成


 ・取引((財産を増減させる経済活動のうち、お金で測定できるものを「取引」と呼ぶ))の認識・測定

 ・仕訳の作成 ・・・ 勘定科目ごとに細分化・区分し、借方・貸方に分けて伝票記入すること

 ・元帳への転記

 ・試算表の作成 ・・・ 最終的に「決算整理仕訳((決算締切のための特別な仕訳:棚卸資産整理により決算期末には、売上原価、減価償却引当金の算定、資産の評価などがなされ追加される))」を追加し、財務諸表を作成する

 ・決算手続き

 ・B/S、P/Lの作成

売上原価

売上原価は決算整理によってはじめて決まる金額である。

売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高*1

棚卸資産

棚卸資産とは、ひとことで言えば「在庫」のこと。販売を目的として保有する商品、製品、副産物、作業くずなどや、製造途中の仕掛品、

半製品、半成工事、製造販売のための原材料、部品、消耗品など。

棚卸資産の金額換算方法

・単価の計算
 (1)原価法 ・・・ 個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法
 (2)低価法 ・・・ 原価法の評価額と期末の再調達価額のうち低いほうを採用する方法

・数量の計算
 (1)継続記録法 ・・・ 在庫の受払を都度記録し、在庫数量を把握する方法
 (2)棚卸計算法 ・・・ 実地棚卸によって在庫数量を把握する方法

・品質の管理
 (1)滞留管理 ・・・ 受払の少ないもの、型式の古いものをリストアップし処理方法を検討
 (2)現品管理 ・・・ 定期、または随時に現品を調査し、保管方法や取り扱い方法を検討

固定資産と減価償却

固定資産の分類

 (1)有形固定資産   ・・・ 土地・建物・機械装置・備品 など
 (2)無形固定資産   ・・・ 借地権・営業権・特許権 など
 (3)投資その他の資産 ・・・ 子会社株式・出資金・長期貸付金 など

減価償却と計算方法

長期にわたり使用されている固定資産については、経済的または物理的観点で資産価値が下がっていく(減価)ため、毎期の費用として規

則的に計上していく。
 (1)定額法 ・・・ 毎年決まった額を計上・償却する
 (2)定率法 ・・・ 毎年一定の比率で計上・償却する

3.会計の基礎知識 以上

*1:実地棚卸などにより確定させる