スノウ・グッピー

スノウ・グッピー (光文社文庫)

スノウ・グッピー (光文社文庫)

評価:☆☆★★★
書評;
実は、この前に読んでた「終戦のローレライ」は、書評を書く2日ほど前に読了していたので、実質3日ほどで読んだ感じ。この本自体は、たまたま飲みに行った会社の同期と福井晴敏トークで盛り上がって紹介された1冊。

物語は、2000年前後、PKOなどでちょうど自衛隊の海外派兵問題などに揺れていた頃の日本を舞台とした国際スパイ小説である。
結論から言ってしまえば、想像とは全く違う作品だった。福井作品のダイス系を想定していただけにやや期待はずれというか、的外れというか。。。ただ、自衛隊内で隊のありようを憂い、影で自分の信ずる情熱の赴くままに動く男のさまを描いたという意味で、似ているといえば似ているのかもしれない。
印象に残ったのは、各章の扉ページで、ポール・ニザンが引用されていたことだ。そのひとつをここにも引用しよう。

男が自己をやり直すのは、ただ女によってでしかない。
あるいは戦争、革命によってでしかない。

ポール・ニザン『陰謀』

要はこの一言が引用したいがために、各登場人物の背景が設定され、舞台として中・朝・米の絡んだ国際スパイ争いを設定したものと映ってしまったのが残念だ。
読み物としては悪くないのだが、福井作品を期待していただけに個人的な評価は低くなってしまう。。。
また、いずれ読み直せば評価も上がるかもしれない。。。