ウェブ進化論

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

評価:☆☆☆☆★
感想:
良書。この一言に尽きる。

ネット世界の「こちら側」と「あちら側」、ますますその溝は深まっていく。否、深いものだということが、誰にも否定できないくらい明白になっていくというべきか。

あちら側にモノを作り、あちら側のみで運用し、あちら側で富を生み出すGoogle。その勢いは、こちら側で金を稼いできたこれまでの企業体にとって対抗するのが困難なものになりつつある。というよりも、そもそも土俵が違うのだから、売上高や株式時価総額など見た目だけの比較をして何の意味があるのか。

この手の本は、年長者が書くとウェブ否定論やウェブ危険論になりがちだし、かといって同世代人が書いた場合、内容の信憑性や読み手の納得感の面で心許なくなってしまう。そういった意味では、梅田さん(id:umedamochio)という我々よりも年長の存在が、自らが培ってこられた経験や知識をベースにウェブの世界で起こっていることを解説してくれる、初めての本といっても過言ではないだろう。趣味の延長でも、仕事上でも、およそITに関わる者、ウェブの世界に関わるものは、一度目を通しておくべきだ。

本書を読んでいると、内容がやや「Google万歳!」というように傾いているきらいがあるものの、メインフレームをお仕事にしている私にとっては、すぐそばにあるがイマイチ実感できていなかった、ウェブの世界のあちら側で現在進行形で起きている革命を、実感あふれる言葉を読み進むことで理解できた。

最後に、江島健太郎氏がCNETブログで評した言葉*1を真似てセンセーショナルに締めるとすれば、「ウェブ世界の進展についていけない年長者も、ウェブ世界をわかったつもりになっている若者も、とりあえず読んでおけ。」 そう言っておきたい。

2006/04/13 11:15追記
ITProに梅田さんのインタビュー記事があったのでリンク

同じくITProから書評

そして、本文中で引用させて頂いている江島さんの書評:
梅田望夫氏の「ウェブ進化論」を読んで

*1:ネットはつまみ食いしてるだけという保守主義者は四の五の言わずとにかくこれだけは読め。たったの250ページだ。