東京タワー "オカンとボクと、時々、オトン"

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

評価:☆☆☆☆☆
感想:
この本に対する感想としてはベタな物かもしれないが、「泣きそうになった」。良い本だ。満点。

人は必ず母親から生まれ出る。これは今のところ真理と言っていいはずだ。
そして母親と言うやつは、子供に対して無条件の愛情を与えることが出来る。父親に比べるとやはり「おなかを痛めて」と言うことなのか、「自らの分身」と言う意識が強いからなのか。。。

そして不思議なことに、親というものは自分と異なる性の子供に対して、特別な感情を抱くものらしい。
女親にとって息子はどんなに成長しても、おそらく結婚しても、学生の頃の息子のままだろうし、イカツイ顔をしたいわゆる「日本男児」と呼ばれるような男親が娘の結婚式で泣きに泣くの光景もそんな感情の発露だろう。

リリーさんと母親と、そして時々現れる父親と。
3人の生活を通して描かれる親の子供に対する愛情は果てしなく、底知れず、そして暖かいものだった。

母親ってこういうものだよね。長男である自分は強く感じた。
そして子供は、何も出来なくても、多少何かしてあげていても、「親孝行が満足に出来なかった」と思うものらしい。
親から受ける愛が果てしないだけに、子供はそれを返し切ることは出来ず、その分自分の子供に愛を注ぐ。そんな連鎖がこれからも永遠に続いていくならばこの国も捨てたもんじゃないと思う。

それはさておき、いつかきっと後悔するのなら、少しでも少ない後悔で済むように、今から親孝行を考えなければ。。。

世の息子たち。親の、特に母親のありがたみを考えるために本書は必読である。