ITサービス業界の付加価値とは何か

いつも楽しみに見ているKennさんのblogですが、今週も興味深い内容。
序盤は、ITサービスの付加価値は既存の会計制度では測り難く、またそれゆえ不正会計(もしくはそのすれすれを行くもの)も存在する、という内容から実際の粉飾決算の例、付加価値派生のメカニズムに切り込んでいく。

話を元に戻すと、ITサービス業界にとっての付加価値というものは、現場でしか感じ取れない空気のような暗黙の存在である。取引金額の数字に出てこないからといって、それを過小評価するのは間違いだ。うまく説明できようができまいが、付加価値はその組織に直接ビルトインされているのは間違いない。

だが、現在すでにある基幹業務システム構築などのアプリケーションに固執する限り、ズルズルと緩慢な縮小を続けるだろうこともまた、間違いない。「システム・インテグレーション事業における対デフレ戦略」というエントリでも書いたことだが、これからは戦略を持たないことが最大のリスクとなる。

中でも会計数字は非常に強いメッセージ性と伝播力を持ち、従業員・役員・株主などのステークホルダー間で価値観をすり合わせ、一体感を演出するのに極めて重大な役割を果たすのだ。通説に反し、会計は刻々と変化する生き物なのだ。過去の慣習に狎れてしまうのではなく、自ら働きかけて飼い慣らし方を身につけるべきだ。

ITサービス業界は雇用の受け皿としてのキャパシティは小さい。需要と供給のほとんどが都市部に集中しており、製造業において工場の誘致が地域経済にもたらしたような雇用創出にはまだまだ至っていない。大企業を顧客にして一部の特殊技能を持った技術者だけを食わせて成立している、狭い業界なのだ。

これは裏を返せば、裾野の拡大に向けて今後発展する余地は限りなくあるということだ。

いつもながら江島さんの文章は面白いと思う。また、自分と何歳も離れていない人が書いた文章とは思えないほど、内容は深く、論理的で、面白く読みやすい。。。。